とある昼下がりサイド君が何やら困った様子です。
サイド君 うちの父親のことなんだけど……。父親の親友が印刷関係の事業をやっているらしいんだけど,事業資金が足りないらしいんだ。そこで,父親に連帯保証人になってくれないかと言われているらしいんだ。
高いよね。それで父親も断りたいらしいだけど,幼稚園からの親友で一緒に甲子園をめざして野球をやっていたということもあって,どうしても断れないらしいんだ。
でも,「保証人にはなっちゃいけない」とよく言われるよね。でもどうしてなのかな?
そうなんだ。それに保証人と連帯保証人の違いもよく分からないし……。
実はご相談があって……。父親が親友から,銀行から500万円借りるので連帯保証人になってほしいと言われているんです。よく保証人にはなるなと言われていますが,どうしてなんでしょう?
保証人は,主債務者,つまりお金を借りた人,サイド君の場合お父様のご親友だね,がお金を払えない場合,全財産をなげうってでも払わなければならないんだ。
全財産をなげうってでも,というのは具体的にどういうことですか?
所有している財産を強制的に売却される可能性があるということなんだ。
よく自己破産すると,借金を返さなくてよくなりますよね。サイド君の場合,お父様のご親友が自己破産された場合には,サイド君のお父様も支払わなくてもよくなるんですか?
いい質問だね。答えは,支払わなくてはいけないんだ。つまり,支払わないようにするためには,保証人も自己破産するしかないんだ。
そうなんだ。保証人になるときには,お金をあげるくらいの覚悟がないとだめなんだ。
連帯保証人の方が重い責任が課されるんだ。難しい話しなんだけど説明するね。連帯保証人は保証人と違い,「催告の抗弁」(さいこくのこうべん)や「検索の抗弁」(けんさくのこうべん)がないんだ。「催告の抗弁」というのは,まず自分ではなく主債務者に催促してくれと言えるということを意味するんだ。「検索の抗弁」というのは,主債務者の方が財産もあるので,まず主債務者の方から回収してくれと言えるということを意味するんだ。つまり,「催告の抗弁」や「検索の抗弁」が連帯保証人にはないということは,債権者が主債務者を飛び越えて,いきなり請求してきても文句はいえないということなんだ。
そうなんだ。サイド君のお父様も500万円をご友人にあげるくらいの覚悟がないと連帯保証人にはなるべきではないと思うよ。