とある昼下がりサイド君が何やら困った様子です。
サイド君 うちの父親のことなんだけど……。父親の親友が家を借りる時に頼まれて保証人になったらしいんだ。ところが,その親友が家賃を滞納したまま夜逃げしたらしくて……。大家さんから父親に対して,①滞納家賃を支払って,②家を明け渡してほしい,と言ってきているらしいんだ。それで困っていて……。
サイド君のお父さんも人が良いね……。どうすれば良いのかしら。そうだ日比谷先生に相談してみない?
実は父親のことでご相談があって……。父親が親友から,親友が家を借りる際の保証人になってほしいと言われて保証人になったそうなんです。ところが,その親友が家賃を滞納して夜逃げしたそうなんです。それで,大家さんから父親に対して,親友に代わって,①滞納家賃を支払って,②家を明け渡してほしい,言ってきているんです。父親は,①,②について責任を負わなければならないんでしょうか?
まず,①については,民法447条1項に「保証債務は主たる債務に関する利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」とされていることから,保証人が責任を負うことになるよ。残念ながらサイド君のお父様は滞納家賃を支払う義務を負うことになるんだ。
これは難しい問題だね。民法447条1項によれば責任を負うようにも思えるんだけど,一身専属的債務(いっしんせんぞくてきさいむ)については,保証人は責任を負わないとされているんだ。一身専属的債務というのは,「その人」しかできない行為を目的とする債務のことを意味するんだ。建物の明渡しについては,荷物の片付け等があるので,借主「その人」しかできないと考えるべきじゃないかな。そうすると,明渡し義務は,一身専属的債務となり,②については,保証人は責任を負わないことになるんじゃないかな。
そう考えてよいと思うよ。ただし,これも難しい問題だけど,明渡義務が不履行となり損害賠償債務に変わった場合には,これはお金を賠償するというものであり,誰でもできるので,一身専属的債務とはいえず,保証人も責任を負うことになると思うよ。