とある昼下がりサイド君が何やら困った様子です。
サイド君 それがね,この間相談した母方のお祖父さんの相続の関係でまた困ったことが生じてるんだ。
そうなんだけど。遺産分割協議の中では決めなかったらしいんだ。お墓や祭壇を引き継ぐ人はどうやって決めるんだろう?
うーん。やっぱり相続の問題なのかな……。そうだ,日比谷先生に聞いてみない?
実はご相談があって。お墓や祭壇は誰が継ぐことになるのですか?
まず,前提問題について説明するね。お墓や祭壇のことを祭祀財産といい,この祭祀財産は,法律で祭祀の主宰者に帰属するとされているんだ。この祭祀の主宰者を誰にするかということが祭祀承継の問題だね。
祭祀財産は遺産とは別の財産であるとされているんだ。つまり祭祀承継は相続とは別の問題なんだ。
実は3段階に分かれるんだ。第1に,被相続人,つまり亡くなった方の指定があればその指定された方が優先することになるんだ。第2に,亡くなった方の指定がなかった場合には,慣習により決まることになるんだ。そして,慣習もないような場合には,第3に,家庭裁判所の調停・審判で決めることになるんだ。
そうすると,亡くなった方の指定がなく,慣習もはっきりしない場合で,相続人間で話合いがつかない場合には,どうすればよいのですか?
そうだね。祭祀財産の承継者の指定の調停を申し立てることになると思うよ。
そうなんだ。祭祀財産は遺産ではないので,遺産分割の問題ではないんだ。それなので遺産分割の調停とは別に祭祀財産の承継者の指定の調停を申し立てるのが原則なんだ。もっとも,遺産分割の調停の中で,相続人全員が合意すれば,祭祀財産の承継者を決めることもできるけどね。
そうすると,お祖父さんの場合,遺産分割は終了していますので,祭祀財産の承継者の指定の調停を申し立てることになりそうですね。