とある昼下がりサイド君が何やら困った様子です。
サイド君 実は,この間,解雇予告手当の件で相談した友人のことなんだけど。日比谷先生のアドバイスもあったので会社に電話して解雇の種類と理由を聞いたらしいんだ。そうすると,会社の方は,解雇の種類は,「普通解雇」で,解雇の理由は,「勤務成績に問題がある」と説明したらしいんだけど,具体的なことは何も言わないらしいんだ。友人も真面目に働いていたらしくて納得できない様子なんだ……。
そうなんだ……。辛いでしょうね……。そうだ日比谷先生に相談してみない!
実は,先日解雇予告手当の件でご相談させていただいた友人のことなんです……。その後日比谷先生のアドバイスに従って会社に解雇の種類や理由を聞いたらしいんですが,解雇の種類が「普通解雇」であることと,解雇の理由が「勤務成績に問題がある」とだけ説明があって,それ以上の具体的な説明はなかったらしいんです。友人は真面目に働いていただけに納得できないらしいんです。このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか?
そんなことはないよ。たしかに法律上は,雇っている会社には,解雇する権利はあるけど,自由に解雇権を行使できるわけではないんだ。最高裁判所の判例によると,「使用者の解雇権の行使も,それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には,権利の濫用として無効になる」とされているんだ。つまり,①客観的に合理的な理由がないか,②社会通念上不相当な場合には,解雇は許されないんだ。
そうだね。一般的に言うのは難しいけど,勤務成績,勤務態度等が不良で職務を行う能力や適格性を欠いているかとか,規律違反行為があるかとか,といった基準が用いられているね。
そうすると,友人のように,「勤務成績に問題がある」とだめなんでしょうか……。
そんなことはないよ。単に「勤務成績に問題がある」という理由だけでは解雇は無効だよ。どのような点で勤務成績に問題があり,それが会社の業務遂行に支障が生じ,解雇しなければならないほどに問題があるものなのか,1回の過誤か,繰り返すものかという回数,会社の指導があったのか,といった事情を総合判断する必要があるよ。お友達の件は,会社が抽象的な理由しか言わないのであれば,怪しいと思うよ。解雇無効を主張することができるかもしれないね。
一つは,地位確認。つまり,解雇が無効だからこれからも勤めさせてくれという請求だね。二つ目は,損害賠償。つまり,無効な解雇で損害を被ったから金銭で賠償してくれという請求だね。サイド君のお友達の件も直接本人から話しを聞かせてもらえればもう少し踏み込んだアドバイスができると思うよ。
良かった!友人も大分ショックを受けていたようなので,知らせてあげればきっと喜ぶと思います。改めて本人から日比谷先生に連絡させます。