とある昼下がりサイド君が何やら困った様子です。
パークさん サイド君うかれない顔してどうしたの?
実は,姉夫婦は離婚前に1年くらい別居していたんだ。別居している間に,お義兄さんが二人で貯めていた貯金を下ろして旅行や飲食に散在したらしいんだ。
そうなんだ。それで,財産分与について①別居時と②離婚時で額が違ってくるんだ。財産分与は,①別居時と②離婚時のどちらを基準にするのかな?
財産分与は,離婚に伴って行うものなので,②離婚時とすべきように思うし……… うーん,難しいわね。そうだ!日比谷先生に聞いてみない?
実はご相談があって。財産分与はいつの時点を基準に判断されるんですか?①別居時ですか?それとも②離婚時ですか?
その点について回答する前に押さえておかなければいけないことがあるんだ。それは,財産分与の基準時には二つの意味があるということなんだ。
まず,第1に,分与対象財産の確定をどの時点でするかということ。サイド君が聞きたいのはこちらだね。次に,第2に,そうやって確定した具体的財産をどの時点の価格を基準に評価するかということ。このうち,第2の点については,裁判時の時価ということであまり争いはないんだ。問題は,第1の点だね。
先生がおっしゃる第1の点について,①別居時か②離婚時かという争いがあるんですね。
そうだね。そして,この点については,原則として,①別居時で判断すべきであると考えているんだ。その理由は,次のとおりだよ。すなわち,財産分与(清算的財産分与)というのは,夫婦で協力して形成した財産を対象とするものなんだ。夫婦の経済的協力関係は,別居後も一緒に事業をしているなどの特段の事情がない限り,別居により終了することになるといえるので,①別居時が妥当であると考えられているんだ。
そうなんですか!姉のケースは別居後貯金を勝手に使われていますので,別居時を基準とすると高くなります。さっそく姉に伝えてあげようと思います。