とある昼下がりサイド君が何やら困った様子です。
それがね,今,母方のお祖父さんの相続の関係で困ったことが生じてるんだ。先日,突然金融機関からお知らせが送られてきたんだ。それによると,どうやらお祖父さんには借金があったようなんだ。亡くなった時は,何も財産がなかったから,遺産分割とか何もしていないんだけど……。
たしか,お祖父さんが亡くなられたのは,1年くらい前じゃなかったかしら。
そうなんだ。相続放棄は死亡してから3か月以内にしなければいけないと聞いたことがあるから,相続放棄もできないし。かといって借金の額も500万円でとても支払える金額じゃないし……。
そうだ日比谷先生に聞いてみようよ。
実は祖父の相続の件でご相談があって。死亡してから既に1年が経過しているんですが,突然金融機関から500万円の借金が残っているので支払って欲しいという連絡が来たんです。それでどうすればよいのか悩んでいるんです。
はい。何も財産がありませんでしたので遺産分割とかはしなかったみたいです。
そうですか。それならば,相続放棄の申述を受理してもらえる可能性があるので,家庭裁判所に相続放棄の申述をしてみると良いよ。
そうだね。サイド君のケースでは,相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3か月以内にしなければならないとされていることとの関係で問題となるね。ただ,この点については,債務がないと思っていたにもかかわらず,突然債権者から債務の請求を受けたような場合には,債務の請求を受けた時から3か月以内に相続放棄の申述をすれば有効であるとする事例もあるので,あきらめる必要はないと思うよ。
その場合には,債権者からいつ請求があったのかが重要になるので,その債権者からの書面をもって相談に来てもらえればもう少し具体的なアドバイスができると思うよ。