こんにちは。東京事務所の平林です。
今回は,前回ご紹介した事例にそってお話を進めて参ります。
さて,捜査員が隈なく聞き込みを行った結果,同じ会社で同僚のAさんが,普段から被害者と口論が絶えなかったということがわかりました。しかも,死亡推定時刻に,犯行現場から足早に立ち去るAさんを目撃した人がいました。
そこで,警察はAさんを任意同行して事情を聴取するとともに,裁判官の令状を取ってAさんの自宅を捜索したところ,押し入れの奥から,毛布にくるまった状態で血痕の付いたナイフが発見されました。
さて,ここで,逮捕についてご説明いたします。
逮捕には,・通常逮捕 ・緊急逮捕 ・現行犯逮捕 の3種類があります。
通常逮捕は,事件を捜査した結果,特定した被疑者の身柄を確保する為,裁判所へ逮捕令状の発行を申請し,それを持って,被疑者の居所に出向き逮捕する事です。よく,年末などに「警視庁24時」が放送され,そこで,刑事さん達が,朝早く被疑者の自宅へ出向き,寝ぼけている被疑者を起こし,逮捕する場面がありますよね。
その時「午前5時38分!逮捕!」などと,大きな声で刑事さんが言っていますが,これは,この時間から国民の自由を奪える48時間がスタートする事を宣言しているのです。
警察が逮捕した場合,身柄は48時間以内に検察に送り届けなければなりません。
緊急逮捕は,指名手配をされている人物が,たまたま前を通りかかった時,「おや?あれは指名手配中のXだ!さて,逮捕状を申請して‥」なんてことをしていると,せっかくのチャンスなのに,取り逃がしてしまう恐れがありますよね?それを防ぐ為,緊急逮捕が適応されるのです。
現行犯逮捕は,目の前で,犯行が行われている,または行われた直後に,犯人の犯行が目撃され,その人物が犯人であると特定できるような状況であった場合,逮捕状がなくても逮捕できます。痴漢容疑や,ケンカなどが代表的です。
今回の事例では,Aさんは,既に任意同行され取り調べを受けているので,取調室で,逮捕状を突きつけられることになりました。